恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「結婚」しました。
年が明けて最初の授業が始まる日、真琴は緊張した面持ちで、職員室の真ん中に立っていた。
隣には、校長・教頭・事務長と管理職の面々。そして総勢80名を超える職員の注目を一身に浴びていた。
職員朝礼を進める教頭が、マイクを持って紹介する。
「このたび、2年部の賀川先生がご結婚をなさいました」
おおぉ――――――――っ!!
ええ―――――――っ?!
職員室の至る所から、驚きと感嘆の声が上がり、真琴はいっそうの視線の的となった。
式も挙げずに、いきなり結婚の報告をするのだから、職員たちが驚くのも無理もない。
「それで、職員の互助会より、金一封をお渡ししたいと思います。…校長先生」
と、声をかけられた校長は、そのまま熨斗袋を渡してくれるのかと思いきや、教頭の手にあったマイクを奪い取るように持ち上げる。
「賀川先生のお相手は、僕の教え子でやはり教員をしています。これからいいこともあれば、苦労することも多いかと思いますが、賀川先生!ひとつ、幸せな家庭を築いて、そして主婦としての経験を教育にも活かしていってほしいと思います。おめでとう!!」
校長はマイクを熨斗袋に持ち替えると、真琴へと差し出してくれた。