恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



「…でも、それだと、古庄先生は自分の授業と私の授業と、とんでもない授業数になります」


「大丈夫。4月だけなんだろう?生徒のためだし、君の代わりに授業ができるなんて嬉しいよ」


古庄はいっそう優しげに微笑んで、真琴の不安をねじ伏せた。
その他にこれと言って良い案が浮かばず、真琴はしぶしぶ頷くしかない。


「その代り、今のように同じ枠で分割授業はできなくなりますから、賀川先生を他学年の副担任に配置してもらっておかないといけません」


と、付け足す古庄の提案に、管理職たちもそれぞれに頷いた。


「……そうだね」


「そうするのが、ベストですかね…」


そんな風にして、4月からの人事も、当初に申し合わせしていた内容から変化した。古庄の方が引き続きこの桜野丘高校で勤務することになり、真琴は実質3月まで勤務した後、休暇に入ることとなった。






「それじゃ、賀川先生。一言お願いします」


校長からの熨斗袋の後は、教頭からマイクを手渡されて、とうとうその時が来てしまったと、真琴は生唾を飲んだ。



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