恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…あの、お祝いのお言葉やお品を頂き、本当にありがとうございます。予告もなく突然の報告に、驚かれた先生方も多いと思います。婚約していたことは一部の先生方にはお知らせしていたのですが、昨年末に急きょ入籍だけいたしました。それと言うのも…、…実は妊娠をしてしまいまして……」
おおぉ――――――――っ…!!
“妊娠”と言う言葉が飛び出してきた瞬間、再び職員室はどよめきに包まれる。
どよめきが収まるのを待って、再び真琴は口を開いた。
「住むところも、今のところは別々で、実質的な新しい生活は来年度になるまで待ちたいと思います。なるべく皆さんのご迷惑にならないようにしたいと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします」
真琴らしい真面目で堅いあいさつが終わると、一斉に拍手が起こり、真琴は深々と頭を下げた。
「ご本人も言っているように、年度途中で混乱しますので、賀川先生は3月までは今まで通り『賀川先生』とお呼びすることにします」
真琴からマイクを返してもらうと、教頭はそう言って付け足した。
「おめでとう!」
「おめでとうございます」
口々にお祝いの言葉をかけられながら真琴が自分の席に戻ると、職員朝礼も終わり、いつもの日常が戻ってくる。