恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…大丈夫?気分でも悪い?」
背中を撫でられながら、そう尋ねられて、真琴は我に返り顔を上げた。
とっさに目に溜まった涙を拭ったが、それを石井は見逃さなかった。
「……古庄くんに言われたこと、気にしてるの?」
真琴は首を横に振って否定したが、その表情は石井の指摘を肯定していた。
「彼は彼なりに、賀川さんのことを心配して言ってるんだろうけど、あそこまで言うことないのにね…」
「うん、でも。何とか、旅行には行けることになったし。平沢先生が入ってくれるようになったのも、古庄先生が言ってくれたおかげだし」
「それはそうかもしれないけど。今度古庄くんを懲らしめておいてあげる。『あんた、ダンナでもないくせに言いすぎよ』ってね」
石井の言葉に、思わず真琴は可笑しそうに笑った。
そんな風に石井から責められた時の古庄は、いったいどんな反応を見せるのだろうか。
そして、真琴の結婚相手が古庄だと知った時、石井はどれほど驚くだろう。
真琴の笑顔を見て、石井も安心したように笑う。
「ね、そうだ。今日これから、ご飯食べに行こ!有機野菜のサラダバーのあるレストラン見つけてね?行ってみたいんだ~」