恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



何と言って答えるべきか……。


もともと佳音は普通の感覚の女子ではなく、一人で物思いに耽るような奥深さや繊細さを持ち合わせている。
佳音の想いは、他の女子生徒が古庄に抱くものよりも、はるかに複雑で強いもののようだ。


やはり告白されたあの時に情けなどかけず、真琴の名前は出さないとしても、愛する女性がいることを、はっきりと佳音に告げるべきだったのかもしれない。

でも、今のような状態の佳音がその事実を知ってしまうと、不登校どころか突発的に自殺さえしかねないと、古庄は危惧した。
 
 
そして、このまま放っておけば、修学旅行はおろか進級さえも危うくなり、その挙句、学校を中退してしまう恐れもある。


今は早急に、どうにかして佳音を、この暗く狭い穴の中から救い出してあげなければならなかった。



古庄は心の中の苦悩は押し隠して、薄く笑みを浮かべた。



「…森園が俺のことをどう思おうが、それは森園の自由だ。好きでいたいんなら、好きでいてもいい…」



佳音の想いに応えたわけではなかったが、こんなことを言えば、佳音に期待を持たせることになると分かっている。
却って、佳音を生殺しにするような残酷な言葉だったかもしれない…。




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