恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「大丈夫です…」
と答えながら、古庄の思いつめたような表情を見て取った。
真琴は右手を上げて古庄の頬を撫で、その表情の意味を考える。
こんな早急な愛撫も、いつもとは違う。
「……何かあったんですか?」
そんな風に問われても、古庄は心の中にある不安を口にはできない。
――…何かあったのは、君の方だろう…?
そう思いながらも、真琴の方から打ち明けてくれないのに高原のことは持ち出せず、ただ緩く首を横に振って答えた。
そして、優しく唇を重ね、唇は頬を滑り、真琴の耳元で古庄は再び囁いた。
「君は…、俺のものだ…」
それから一つになり、想いを込めた行為が終わるまで、古庄は何度もこの言葉を、うわ言のように繰り返した。
久しぶりに触れ合った余韻を楽しみたい古庄だったが、真琴は作りかけの夕食が気になっていたのだろう。すぐに古庄の抱擁から抜け出すと、手早く普段着を身に着け、台所へと向かった。
…でも、そんなところも真琴らしいところだ。
何でも一生懸命で、手を抜くことを知らない。
そう時間を置かずに古庄の目の前に出された夕食は、紛れもなく真琴が古庄のために心を込めて作ったものだ。