恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜

帰ってきて…! Ⅰ




 
 
 
ホテルの窓から望める雪山が、先ほどまで青い空に映えて綺麗に見えていたのに、徐々に白い雲に覆われて見えなくなった。

幸いにも研修期間は良かった天気だが、この様子では今晩は雪になりそうだった。


このまま無事に大きな怪我もなくスキー研修が終わってくれそうだと、真琴も他の教員たちも思っていたのだが、事件はその日の午後、スキー研修の最後の一枠で起こった。


研修後の人数確認をする際、佳音の姿が見えないことに、インストラクターが気が付いた。

血相を変えて若い男のインストラクターが報告に来ると、担任である古庄をはじめ、教員一同の表情も凍りついた。


「どういうことですか?説明してください!」


インストラクターを責めるつもりはないが、古庄の語気がおのずと強まる。

まだ経験の浅いアルバイトのインストラクターは、古庄の様子にすっかり威圧されながら、息を呑んでうなずいた。


「…いや、あの。最後の一枠は、みんなも随分滑れるようになっていたので、集合する時間と場所を決めて、個人個人自由に滑る時間にあてたんです。初級者コースは普通に滑っていれば、コースを外れることなんてありえないし…。…それで、集合してみたら一人だけいないし、集合時間からもう30分は経とうとしてるし……」



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