恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
シドロモドロと状況を説明するインストラクターの話を聞きながら、古庄は唇を噛んだ。
――……俺のせいだ……!
原因は自分にあると覚った瞬間、古庄は目を絞って頭を抱えた。
渋る佳音を、無理にこの修学旅行に連れて来たのは、誰でもない古庄自身だ。「一緒に思い出を作ろう」と言っておきながら、敢えて古庄は佳音と関わろうとはしなかった。
もしかして佳音は自暴自棄になって、自分からこの雪山の奥深く分け入って姿を消したのかもしれない……。
そう思うと、古庄は居ても立ってもいられなくなった。
冷たく動かなくなった佳音と対面することだけは、何としても避けたかった。
「…森園を探しに行ってきます!他の生徒たちのこと、お願いします!」
古庄は今外したばかりのスキーを再び装着し、リフトの方へと向かった。
残された教員の中でも、4、5人が古庄と同じように、佳音を探しにその場を離れる。
本来ならば、これからスキー研修の閉講式のようなものが行われるはずだったが、生徒たちはそのままホテルへと戻ることになった。
「……古庄くんのクラスの森園さんがいなくなったのよ。今、古庄くんや他の若い先生たちが探しに行ってる」