恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



不安に押しつぶされそうになりながら、真琴は両手をきつく握って唇に当てて、無理やりに自分を奮い立たせた。



佳音がいなくなっても、ホテルにはその他の生徒300人以上を抱えており、引率教員全員で探し回るわけにはいかない。

とりあえず生徒たちを各自の部屋に入れてから、この修学旅行の団長である校長のもと職員招集がかかり、今後の対応策が練られた。


いなくなった場所が普通の場所ではなく雪山なので、職員たちの危機感も半端ではない。

捜索は、スキー研修のインストラクターたちも行ってくれているらしく、あと1時間探して見つからなければ、警察へ連絡して山岳警備隊へ救助要請も検討するということになった。

佳音がいなくなったことは他の生徒たちも気づいているので、不安が広がらないように配慮することも申し合わされた。
 
 

重苦しい空気を抱え、皆が頭を寄せ合う中、学年主任のもとに連絡が入った。


「森園のスキー板が見つかった!ロッジの裏手に立てかけてあったそうだ」


「見つかったのは、板だけ?本人は?」


「本人は、まだ見つからないらしい…」


学年主任は携帯電話を握りしめて、溜息を吐く。




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