恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
真琴は不安に押しつぶされそうになって、泣いているかもしれない…。
真琴の涙を思い浮かべると、一刻も早く真琴を安心させてあげたかった。古庄は居ても立ってもいられなくなり、動き出したくなってくる。
でも今は動いてはいけない――。
一刻も早く…よりも、無事に帰還することの方が大事だ。
古庄は必死に衝動を抑え込んで、雪の降り続く暗闇を見つめ続けた。
石井のおかげで少し落ち着くことのできた真琴は、どうしても拭いきれない大きな不安を抱えたまま、自分たちの部屋へと向かった。
石井はそんな真琴を詮索することなく、ずっと傍についていてくれた。
部屋に戻り、襖を開けると、佳音と平沢が座卓に着いて座っていた。
案外、平沢は気が利く女性らしい。座卓の前に小さくなっている佳音は、すでに着替えが終わっており、その前には温かいお茶も供されている。
「わっ!どうしたんですか?二人とも!!」
平沢が真琴と石井の姿を見て、目を丸くする。
風雪にさらされた二人は、誰が見ても分かるほど、その髪と服を濡らしていた。