恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「うん、ちょっと雪の様子を見に外へ出てみたの」
「ああ…、雪、気になりますね。激しくなってます?」
「そうね。風も強くなってるし」
「スキー研修は終わりましたけど、明日移動できるでしょうか?」
タオルで髪を拭きながら、石井と平沢のそんな会話を聞いて、真琴にはまた涙が込み上げてくる。
明日の朝までに、古庄が戻ってきていなかったら…と考えて…。
「お茶を淹れました。こちらへどうぞ」
平沢からそう声をかけられて、真琴は石井と共に座卓へと着き、佳音とも向かい合った。
佳音はうつむいて、教員たちの会話をただ黙って聞いている。
けれども、佳音にはきちんと話してもらわなければならなかった。どうしてこんなことになってしまったのかを。
「森園さん…。少しは落ち着いた?」
石井の静かで優しい声が、そう佳音へと投げかけられる。
すると佳音はうつむいたまま、小さく一つ頷いた。
「……スキーをするのは、面白かった?つまらなかった?」
いきなり核心を問いたださずに、石井は世間話のように佳音の話を引き出そうとする。