恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「思い出を作ることには成功したかもしれないね。森園さんがいなくなったって聞いて、古庄先生は血相変えて真っ先に探しに行ったから」
声色は優しかったけれども、石井の言葉は厳しいものだった。
その事実を聞いて、佳音はいっそう神妙になって顔をこわばらせた。
「雪山でいなくなるってことは、少し間違うと死んでしまうってことなのよ。古庄先生だけじゃない。他の先生たちも校長先生だってものすごく心配したの。こんな雪も降る中、いったいどこで何をしていたの?」
「…私は、雪の降る外にはいなかったから…、そんなに心配されてるとは知らなくて……」
「外にいなかったって、…どこにいたの?」
「…初めはロッジにいたんです。…それから…」
「うん、それから?」
「それから、ドライブに行きました…」
「…ドライブ…って!!?誰と行ったの!?」
「ロッジで声をかけてきた男の人と……」
「………!!」
佳音の口から飛び出してきた信じられないような真実に、石井は絶句する。さすがの平沢も、呆れて天を仰いだ。