恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「何をしているの!!修学旅行中にしていいことと悪いことくらい、もう高校生なんだから解ってるでしょう?!そんなことすると、どんな騒ぎになるかってことくらい、想像つくでしょう?!」
古庄がこの出来事に絡んでいることもあって、平沢は容赦なく自分の怒りを佳音にぶつけた。
そんな風に声を荒げられても、佳音は返す言葉もなく、ただ小さくなるしかない。
「そんな…、声をかけてくるような人に付いて行って、車に乗るなんて…!体を触られたり…そんなことされなかった?」
石井は心配と憤りが入り混じった感情に表情を曇らせて、佳音に尋ねた。
「…べ…、別に何もされませんでした」
佳音はうつむいたまま小さな声で答え、首を横に振る。石井も不幸中の幸いとばかりに、息を抜いた。
そんな様子の佳音を見守って、真琴は彼女の心が手に取るようだった。
自分を必要としてくれる人を佳音は心から欲している…。
たとえ見せかけの優しさでも、それを示してくれる人ならば誰でもいいと思えるほど、佳音は寂しかったのだ。
でも、本当に心の底から欲しているのは古庄で、彼に自分の存在を確かめさせるために、少し姿を消して困らせようとしたのだろう…。