恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
秘密 Ⅰ
真琴と石井と平沢、そして佳音を含めた4人は、大勢の生徒たちと入れ替わりに夕食を食べる大広間へと向かった。
冷めてしまった食事は、当然美味しくはなかったが、それ以前に真琴は何も喉を通らなかった。逆に、自分の中にある不安の塊を吐き出して、皆の前なのに泣き出してしまいそうだった。
夕食が終わっても、古庄は戻って来ていなかった。
その現実を確認すると、校長をはじめ、職員の間にも焦りの色が広がり始める。
「古庄は、どの辺りで森園さんを探してたんだ?」
校長が対処に当たるため、詳しい事実を確認する。
「初級者コースで一度出会いましたが、彼はコースを逸れて木立の中なども探しているようでした」
と答えたのは、共に捜索にあたっていた戸部だった。
「……森園さんは…」
古庄の思考を代弁するように口を開いたのは、真琴だ。
いくら堪えても滲みだしてくる涙で、目の周りを真っ赤にさせ、憔悴しきっている真琴の様子を、一同は見過ごすことはできなかった。
いくら同僚が行方不明で心配だとはいえ、この様子は尋常ではない……。