恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



「…分かった。それじゃ、警察に捜索願を出そう。他にも、いろんなところに頼んで、古庄を探してもらう」


そう言いながら励ますように真琴の肩に手を置くと、ホテルのフロントへと足を向けた。

これで古庄が見つかる確証はないが、これが今できる真琴の最善だった。




けれども、しばらくして校長は、暗く悲痛な面持ちをして戻ってきた。


「警察は話にならん。夜間の山の捜索はできないらしい。雪も降って、2次被害の恐れもあるとかなんとか…」


その話を聞き、真琴は校長よりも、悲しみで顔を歪ませた。


「…でも、これからここに、事情聴取には来てくれるらしい。捜索は、明日夜が明けてからになるそうだ」


慰めるようにそう付け足しながら、校長は再び真琴の肩に手を置いた。


でも、事情を説明するだけでは、古庄を助けられない。こうしている間にも、刻一刻と風雪は彼の体温を奪い続けるだろう。


眉間に皺をよせ、歯を食いしばったけれど、あまりにも絶望が大きすぎて、真琴は自分の中から湧き出してくる涙をもう抑えられなかった。


涙が堰を切って溢れ出してくる前に、真琴は皆の側を離れた。
ロビーの奥の廊下まで来て、ハンカチで目を押さえ、堪えきれず嗚咽をもらした。



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