恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



愛しい人に抱かれて、愛される喜びは、言葉にできないほどに素晴らしいけれど、その代償がこんなにも辛すぎるなんて…。



だけど、古庄に愛されて、そして彼を心から愛することで、真琴はかけがえのない大切なものをたくさん与えてもらった。


何よりも、真琴のお腹にいる小さな命は、何ものにも代えがたい宝物だ――。



『…君のことは俺が守るよ。何があっても…どんな時でも…』



耳に残る古庄の言葉…。

古庄はそう言ってくれたのに、真琴は今窮地に立たされている彼を、守ってあげることができない。



――…和彦さん…!助けてあげられなくて、ごめんなさい…!



心の中でそう叫ぶと、真琴の目にはまた涙が溢れてきた。



――でも、必ず無事に帰ってきて…!そして、約束したように、私とこの子の側にいてください…!


真琴にはもう、祈ることしかできなかった。
見えないものの力を信じて、何度も何度も祈り続けた。





それから、不安という暗くて重い空気をはらんだまま、1時間ほどが過ぎた。

ホテルのロビーから離れられない教員たちの脳裏にも、最悪の状況がちらつき始める。


ロビーの隅では、事情を聴きに来た警察に、校長と学年主任が対応している。


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