恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
高原も同じことを考えていたのだろう。
同じ場所同じ時を選んで、真琴に想いを告げた。
……しかし、恋愛に関しては鈍感な真琴は、自分がそんな感情を抱かれているなんて夢にも思っていないようだ。
「夕陽じゃありません。賀川先生のことです。……僕は賀川先生が好きなんです」
そこまではっきり言われて初めて、真琴は状況を理解した。
「は?…私を?……どうして?」
真琴の視線が宙を漂い、戸惑い始める。
「文化祭の準備とかで、賀川先生と一緒に協力して、いろいろしている内に…」
確かに、あの文化祭の準備の時には、副担任の高原に手伝ってもらうこともたくさんあった。必然的に一緒にいる時間も長くなり、生徒を交えて共同作業をする中でいっそう親しくなれた。
「それに、自分のクラスのことだけでも大変なのに、古庄先生のクラスの面倒も見たり、実行委員の仕事も手伝ったり…。それでも嫌な顔一つせずに頑張っている賀川先生のことが、僕は好きになっていました」
「……それは……」
文化祭の準備の時は、真琴はただ古庄を想って古庄のために、頑張ろうなどとは思わず、ただ一生懸命に動いただけだ。
古庄の手足の一部のように役に立てることは、真琴にとって何よりも喜びなのだから、嫌な顔なんてするはずもない。