恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…なあに?和彦さん?……もう一回ですか…?」
「えっ?…も、もういっ…?!」
起こしてしまった焦りと、そんな気などさらさらなかったので、さすがの古庄も口ごもってしまう。
けれども、虚ろに自分を見上げ、意志を確認している真琴の色っぽい目を見てしまうと、古庄の中にも甘い衝動が湧き起ってくる。
「…う、うん。…そ、そう、もう一回」
古庄が誘惑に屈し、ネームペンを放り投げてそう言うと、真琴は眠いながらも優しく微笑み、古庄に向かって両腕を差し伸べる。
古庄がもう一度真琴の上に覆いかぶさると、真琴は伸ばした腕を古庄の首に絡ませた。
週が明けて月曜日の勤務後、古庄は早速谷口から教えてもらったジュエリーショップに赴いた。
もちろん、真琴には気取られないように。
「何なら一緒に行ってあげてもいいのよ」
という谷口の好意を、「冗談じゃない…」と心の中でつぶやきながら、丁重に断った。
しかし、谷口はデキる女らしい。
どこにいても目についてしまう古庄が、指輪を買っているところを知人に見とがめられないよう、古庄を知る者がいない街の店をちゃんと選んでくれていた。