恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
二人の時間
修学旅行も、それからは事件が起こることもなく、真琴の体調も特に変わったこともなく、無事に全ての日程を終えた。
古庄は改めて校長からこっぴどく叱られて、携帯電話をきちんと携帯することを義務付けられたが、習性はそう簡単には変えられず、相変わらずだった。
通常授業が再開され、穏やかな普通の生活を送る中で、二人が結婚しているという“秘密”を知ってしまった同僚たちから、微妙な変化が醸し出される。
今までと同じように二人がいたわり合って、協力し合っている場面があると、同僚たちは今までとは違って、その様子を窺いつつ、そっと見守るようになった。
そして、少しずつ大きくになっていく真琴のお腹を見ては、その中にいる赤ちゃんの成長を、いっそう楽しみにしてくれるようになった。
しかし、真琴も古庄もおっとりしているのか、自分たちの秘密が知られていることに、いっこうに気が付く様子もない。
ただ、態度が変化したのは、平沢だ。
以前は、職員室だろうが所構わず古庄にベタベタして、古庄は真琴の顔色を窺うのに大変だったのだが…それがピタッとなくなった。
古庄はそれを不審に思うこともなく、平沢がそうしなくなったことに気付きもしなかった。