恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



それほど、今の古庄には真琴しか見えておらず、真琴とそのお腹にいる我が子の存在だけが全てだった。



表面的には何も変化がなく、その内面が著しく変動していたのは…、佳音だ。

修学旅行で事件を起こしてからも、佳音は古庄に謝罪をすることはなかった。

古庄も佳音に謝罪を強要することも、事の詳細を詮索することもなく、


「…無事に見つかったんだから、それでいい」


と、一言そう言っただけだった。


しかし、佳音は放っておいたら、もっと大変なことになる…。

自殺とまではいかなくとも、自傷行為を繰り返すか。夜の街をさまよい、ドラッグにはまって身を落としてしまうか…。



そう感じていた古庄は、佳音とは修学旅行が終わってから、じっくりと向き合うつもりだったが……。
やはり佳音はその後も、依然として登校して来なかった。



佳音は、自分のせいで古庄を大変な目に遭わせたという負い目があって、古庄を直視できなくなった。


いっそのこと怒鳴られて叱ってくれでもしたら、素直にその場で謝ることもできたかもしれない。

でも、古庄はそうしてくれなかった。まるで腫物を触るかのように、そっとされ続けた。



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