恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
自分と同じ感覚をかつての古庄も感じていたんだと知って、真琴の胸がキュンと鳴いて、思わずご飯を装う手が止まる。
「…私の場合はドキドキというより、あなたが傍に来るとゾワゾワしてました」
「……ゾワゾワ……?」
真琴の背後から、古庄が訝しそうに覗き込む。
「そう、ゾワゾワ。あなたは圧倒的で、私には強烈過ぎて。隣にいるのが、すごく居心地悪かったです」
それを聞いて、ますます古庄の眉間に皺が寄った。
「その居心地悪い男と、君は結婚したのか?」
拗ねたような表情で、古庄は真琴の言葉の真意を確かめようとする。
すると、真琴はニコッと笑顔になった。
「そうです。側にいるだけの時は居心地悪いと思ってたけど、こうやって抱きしめられていると居心地いいんです」
真琴のその笑顔と言葉に、古庄の胸がキュ――ンと痺れた。
我を忘れて、真琴を抱きしめる腕に力がこもる。
「…俺は…、君が傍にいないと、もう生きていけない…」
真琴の耳元で絞り出された声に、真琴の心臓は切なく脈打ち、肌が粟立った。
――私も、あなたがいないと生きていけません…
そう思ったけれども、真琴はそれを言葉として表現できなかった。