恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



きっとこの不安の根底には、佳音が古庄を恋い慕っている事実も影響している。
相手が他の普通の生徒だったならば、こんな風に不安に思ったりしない。


夜に閉ざされ、二人きりの佳音の家で……。

きっと佳音は、その心の内の寂しさを吐露して、古庄に抱きしめてもらいたいと思っているだろう。
あの可憐で危うい美しさに訴えて、「死んでしまいたい」と自分の命さえも武器にして、古庄の心を自分のものにしたいと思っているだろう。



そして、古庄はそんな佳音の心の叫びに応えてしまうかもしれない。彼女を救いたいと思うあまり、抱きしめてしまうかもしれない――。



もちろん、古庄のことは信じている。

たとえ佳音を抱きしめたとしても、それは彼女を愛しているからではない。



――でも…!私の命よりも大切な人を、もうこれ以上振り回さないで……!!



佳音を憎らしく思ったり、恨みに思う気持ちはない。

けれども、これ以上、愛しい古庄が佳音に煩わされるのを見ているのは、とても辛すぎて…もう耐えられそうになかった。


そんなことを考えていると、真琴の目にはいっそう涙が溢れ出てくる。


もう真琴自身も自分を制御できず、どうすればこの涙が止まってくれるのか分からなかった。




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