恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



あの時のことを思い出すと、古庄の胸も痛くなってくる。


ただ待つことしかできなかったあの時と同じ思いを抱えて、今も真琴は泣いていたのだ。



「ああ、真琴…」



古庄は真琴の腕を引いて、大切な宝物を護るように、自分の腕の中へと包み込んだ。



「俺はここにいる。君の傍にいるから…」



古庄が懐にいる真琴に優しく語りかけると、真琴は古庄の胸に顔を押し付けて、嗚咽を押し殺した。


「森園が何かしでかさないように見張るのは、俺じゃなくてもできる。だけど、君の伴侶は俺だけだから。俺は君の側にいるべきだと思って、引き返してきたんだ…」


こんな風に一人で泣いていた真琴を見て、古庄は自分の選択は正しかったと確信した。

真琴の胸に、そんな古庄の言葉が沁みわたって、不安で凍り付いていた心を少しずつ癒していく。

古庄は真琴を抱きしめながら、その背中を穏やかに撫でさすった。
すると、真琴も、発作のような嗚咽は落ち着き、古庄の胸に頬を付けて息を抜く。


「君は、誰よりも…俺の命よりも大切な人だから…。寝ても覚めても、四六時中一緒にいたいって、ずっと言ってるのは俺の方だ。絶対に君の傍を離れたりしないよ…!」





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