恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…俺は、お前の知っている男達とは違う。仮に、今ここでお前が全部脱いだとしても、俺はお前には絶対に触れないよ」
古庄の言葉に、下着も脱いでしまおうとしていた佳音の手が止まる。
目を逸らさずに佳音の行動を注視していた古庄の目を見て、佳音はショックのあまり思わず唇を噛んだ。
古庄の目には、失望こそ映っていたけれども、少しも欲望の火は灯っていなかった。
「…私が生徒だから?…それとも、私に魅力がないから…?」
魅力がないことはない…。
白い肌に映える大きな目、整った鼻に可憐な口元。体だって、女子高生とは思えないほどに成熟している。
大概の男だったら、ここまで誘惑されてしまうと、きっとむしゃぶりついてしまうだろう。
しかし、古庄にはそんな手管は通用しない。これまで生きてきた中で、もっと際どい誘惑をされたことも経験済みだった。
「…お前が生徒だからとか、そういうこと以前に。俺は、愛しいと思えない女は抱かない」
古庄の言葉を聞いて、少し止まっていた佳音の涙が、再びポロポロとこぼれ始める。
先ほどとは違って、切ない心を映す涙だった。