恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…真剣に強く…想い続けていれば…、いつか先生と想いが通じ合えるって信じて…それが私の夢だったのに…。もう、諦めなきゃいけないの?……私は、これからどうやって…何を支えに生きていけばいいの?」
佳音のこんな気持ちを聞いても、もう古庄は「好きでいてもいい」とは言わなかった。
「俺がいなくても、お前はちゃんと生きていけるよ。苗木だって、自転車に乗るときだって、最初は支えてもらっても、そのうち自分の力で立つことができるだろ?お前が一人でちゃんと立てるようになるまで支えるのが、俺の役目だ。絶対に、途中で放り出したりはしないから…」
――……役目……
古庄の言葉は、とても深い思いやりが込められていたけれども、それは教師としてのもので、一人の男としてのものではなかった。
力をなくすように佳音がソファーへと座り込むと、古庄は脱ぎ捨てられた佳音の洋服を手に取って、そっとその肩にかけた。
「…寒いから、服を着なさい。風邪をひいたら、明日も学校に来れないだろ?」