恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「1か月半?!…それは困ります。1日でも早く受け取りたいんです」
血相を変えた古庄の表情に、店員も顔を曇らせた。
「1日でも早くとおっしゃられますと、どのくらい…」
「できれば、今日にでも持って帰りたいくらいです!」
「……それでしたら……。こちらのお持ち帰りできる展示品で、刻印なしでしたら可能なんですが……」
と、困ったような表情を見せる店員だったが、困っているのは古庄の方だ。
店員に示された指輪の9号サイズとなれば、数も限られて選べるデザインも少ない。
それに、やはり先ほど「これだ!」と思ったもの以外は、どれもイマイチに思われてしょうがない。刻印もないというのも、納得がいかなかった。
「…いや、この指輪に刻印を入れて、何とか1週間以内に受け取りたいんです!」
「1週間以内ですか…!?」
「はい!何とかなりませんか?お願いします!!」
古庄は必死な表情で懇願し、頭を下げ、店員の顔をじっ…と見つめる。
たいていの女性は古庄がこうすると、大概言うことを聞いてくれる…。
姑息な手段だとは解っているが、背に腹は代えられない。
古庄は自分の魅力でも何でも、最大限駆使するつもりだった。