恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…じゃあ?キスがダメなら、抱きしめてくれるだけでいい…」
「それもできない」
「どうして?前に、夜の街で私を助けてくれた時…、先生は私を抱きしめてくれたじゃない?」
佳音はどうにかして、恋い慕う古庄の温もりを感じたかった。
それは、ずっと寂しい思いを抱えてきた佳音の心が、切望しているものだった。
しかし、古庄はまた首を横に振った。
「…あの時は確かにそうしたけど、今は…お前の中に俺への恋愛感情がある限り、そういうことはしない」
最後に振り絞った勇気さえも、古庄のこの答えに打ち砕かれて、佳音は絶望する。
だけど、自分でも持て余してしまうほどの古庄への想いは、溢れ出して暴れ始めた。
「じゃあ…。じゃあ?私の気持ちはどうしたらいいの?こんなにも先生のことが好きなのに!!」
「俺みたいな年増の男のことなんて、別のことに目が向けば、すぐにどうでもよくなるよ」
開き直ったような古庄の言い方に、佳音はますます狂ったように声を荒げた。
「そんなに簡単なことじゃない!もう、どうにかなりそうなの!…先生が好き!先生が好き!!」
泣きじゃくるか、ヒステリックに叫ぶか…。
こんな風になってしまった佳音には、もうどんな言葉も通じない。