恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
私のものです…
佳音の走り去っていく後ろ姿を見守って、古庄は大きな息を吐いた。
佳音の心は解らないでもない。
恋心と言うものは一度自覚してしまうと、まるで呪いでもかけられたように、そこから逃れられなくなる。
望みがなく、ダメだと解っているのに、諦めきれず募ってしまうのが恋心というものだ。
当の古庄も、それは真琴と想いが通じ合う過程で、嫌と言うほど経験した。
どんなに切なく苦しい思いをしても、真琴を恋い慕う想いだけは消すことは不可能だった。
あの時の自分だって、今の佳音と同じように、真琴へ想いの丈の全てをぶつけていたのだと思う。
このまま…、佳音の想いが自然に冷めるまで、待つことしか手段はないのだろうか…。
けれどもそれは、佳音にとって、煮え湯を飲まされるように辛く苦しいことだろう。
佳音の想いに応えられないことは分りきっているからこそ、いっそのことキッパリと諦めてくれた方が、佳音自身のためだとは思うのだが…。
今のままでは、佳音自身も自分の想いをどうすることもできないようだ。