恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
真琴に求められなくても、古庄は真琴にそうするつもりだった。
体中から溢れ出してくる真琴へのこの想いは、抱きしめるだけでは足りない。何か行為として放出しないと荒れ狂い持て余して、今にも叫びだしてしまいそうだった。
その時、古庄の目には情熱の炎が映り、ここが教室だということも忘れてしまう。
真琴の髪をかき上げながら、真琴の頭を引き寄せて、唇を重ねようとしたその時、古庄の視界の端に人影を捉えた。
真琴の背後、教室の後方に立ちすくむ、佳音の姿。
真琴を抱きしめる古庄を見て、その表情は凍りついている。
しかし、古庄は自分を止められなかった。佳音を一瞥しただけで、その視線を振り切るように腕の中の真琴を見つめ直し、キスをやめる選択をしなかった。
「キスして」「抱きしめて」…。
先ほど佳音からあれほど懇願された行為を、古庄は何の躊躇もなく、自分から真琴へと求めた。
唇が触れ合った瞬間には、古庄の意識から佳音の存在さえもいなくなってしまう。
「好きです」というその言葉が表す通り、真琴も夢中になって唇を重ねた。古庄の背中に回された手が拳となり、ギュッと力を込めてスーツのジャケットを掴む。