恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
誰かに見られてしまう。秘密がバレてしまう。今まで気にしていたそんなことも、もうどうでもよくなった。
教室でこんなことをして、不謹慎だということも十分理解している。
けれども、今目の前にいるお互いの存在だけが全てで、愛しいと想う気持ちだけが全てだった。
何度も方向を変えて唇が重ねられる度に、熱い吐息が漏れ、更にキスが深められていくにつれて、それだけで終われなくなった。
真琴の顔中にキスをし、その耳や首筋をたどろうとした時、辛うじて古庄は思い止まる。
「……今日は、約束の週末じゃないけど、君の部屋に行く。…今すぐにだ!」
真琴の熱に浮かされたような顔を抱えて、古庄は力強くそう囁く。真琴もそれに応えて、はっきりと頷いた。
抱擁を解き、気が付いたら、すでに佳音の姿は教室から消えていた。
一心にキスを交わしていた二人は、佳音が去っていく足音さえも耳に入っていなかった。
真琴が落としたプリント類を、古庄が手早く拾って真琴へと渡す。真琴がそれを受け取り、古庄が教室を消灯すると、二人は足早に職員室へと向かった。