恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
自転車なのに自動車よりも早く到着するなんて、いったいどれだけ懸命にペダルを漕いだのだろう…。
そんなことを思うと、真琴の中の想いはさらに高まって、手にあった荷物を投げ捨てながら古庄に走り寄り、その胸の中に飛び込んだ。
「あなたが好きです。…あなたが好きです!」
もっとほかの言葉でこの想いを伝えたかったが、感情が高揚してそれしか言葉にならなかった。
「あなたが、好き…」
繰り返される真琴の言葉を遮るように、古庄が唇を重ねて自分からの想いを表現した。
それに続く、もっと深い愛の行為…。
先ほど、教室では思い止まったその行為を、この二人だけの部屋で、やっと想いのままに真琴にぶつけられる。
真琴のコートとカーディガンを、一緒に真琴の肩から落とす。その下に着ているアンサンブルのセーターを裾から持ち上げると、真琴も両腕を上げてそれに応える。
古庄も自らのジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを緩めるとスルリとそれを抜き取った。
ベッドに体を横たえ、再び深く長いキスをして、古庄が囁く。
「…俺も、君が好きだ」
真琴は頷くだけで精いっぱいで、もう何も言葉にならなかった。