恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「だけど、今日もまた、君との恋に落ちたよ…」
古庄の言葉が胸に響いて、その痛みに耐えるように真琴は瞳を閉じる。滲みだしてきた涙が真琴の耳へと伝うと同時に、切ない動悸で高鳴る胸に古庄が口づけた。
真琴がつわりで苦しんで以来、古庄は真琴の体調を気遣って、こんな風に触れ合ってはいなかった。
解き放たれた欲求は、今にも暴れ出しそうになったけれども、子どもを宿す真琴に対して、古庄は努めて自制した。
膨らんできた真琴のお腹を、古庄の唇が優しくたどると、真琴は嬉しそうに微笑む。
その満たされた微笑みに魅せられて、古庄はまた真琴にキスをする。
古庄の頬をそっと撫でて、
「…あなたを、愛しています…」
真琴は自分の中の真理を、やっと古庄に告げた。
「……俺も、愛してるよ…」
それからは言葉もなく…温かく幸せな混沌の海の中を、二人で手を携えて彷徨った。
「ずっと、言えなかったんです。…あなたのことを、『好きです』って…」
古庄の腕に包まれて、レースのカーテンからこぼれてくる外の街灯の光を見上げながら、真琴がつぶやいた。
「…うん」
古庄もカーテンと青白い光が作る天井の模様を見ながら、返事をする。