恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
悲しい出来事
しかし、何事もなく平穏に過ぎてくれる週末ばかりではない。
「古庄先生。古庄先生は、どこにいる?」
緊迫した様相の学年主任に、真琴もただならぬものを感じてすぐに反応した。
「古庄先生は、もう終礼に行ったと思います」
「ああ、そうか」
と、学年主任は古庄を追いかけて教室へ赴こうとする。
「何かあったんですか?」
真琴はその学年主任を捕まえて、そう訊かずにはいられなかった。
「古庄先生のクラスの森園佳音だけど、彼女の弟さんが亡くなったらしい…」
「……えっ!?病気だったんですか?」
「いや、詳しいことは判らないけど、なんでも交通事故らしいんだよ…」
思いがけない悲しすぎる出来事に、真琴も一瞬言葉をなくす。
それでも、ここは教師として動かねばならない時だと、気持ちを締め直した。
「それじゃ、私がこれから教室に行きますから、古庄先生にそのことを伝えます」
真琴はそう言うと、自分の終礼道具を携えて、急ぎ足で教室へと向かった。
こんな時、担任としてどう対処しなければならないか考えながら…。
古庄のクラスの教室を覗くと、生徒達は配布物を配り、古庄は教壇でプリント類の整理をしていた。