恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
誰かのために…
「ああ、食った、食った!ごちそうさま!!森園、美味しかったか?」
満足そうな顔で、古庄が佳音に問いかける。
「はい…。美味しかったです」
ご馳走になっておきながら、“美味しくない”とはもちろん言うはずもなかったが、真琴の料理は古庄が大口で食べるにはもったいないと思うくらい、繊細で優しい味がした。
「そうだろう?和食だろうがなんだろうが、俺の奥さんの作る料理が口に合わないヤツなんて、いないはずだからな!」
ここまで来ると開き直りとも言えるような、臆面もない古庄の真琴に対する賞賛に、佳音は閉口してしまう。
昨日のキスも然り、古庄は心の底から真琴に惚れていることを包み隠すことはなかった。
でも、それが古庄の真実だ。
ありのままを全てさらけ出すことは、自分と自分たち夫婦について、佳音に理解をしてもらうために必要なことだと、古庄は考えていた。
片付けに入ると、率先して古庄が動き始める。
「森園。手伝ってくれ」
古庄からそう声をかけられて、再び佳音が立ち上がる。狭い台所に立つのは二人が限界で、真琴はいつものように居間で休ませられた。
「………あっ!!」
片付けがほぼ終わったころ、真琴が悲鳴のような声を上げる。