恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
その真琴の声色に古庄は血相を変え、食器を拭いていた布きんを放り投げて、居間へと飛んで行った。
居間では真琴がお腹を抱えて、苦しそうに小さくなっている。
「どうした?!真琴!!……産まれそうなのか!?」
古庄が傍に膝をついて覗き込むと、真琴は苦しみながらも可笑しそうに吹き出した。
「まさか!まだ早いです。…胎動ですよ」
「……え?」
「お腹の赤ちゃんから、すごい勢いでお腹を内側から蹴られて…。一瞬息が出来なくなりました」
「胎動で、そんなに?!」
「まだ激しく動いてますよ」
真琴からそう言われて、真琴のお腹へとそっと手を当てた。
手のひらに、グリングリンとお腹の中で活発に動く、我が子の息吹が伝わってくる。
「うわ、すごいな!…また蹴ったぞ!」
「産まれる前から、走り回ってますね」
古庄の驚きに、真琴も幸せそうに微笑む。
「こんなに元気だから、……男の子かな?」
「……当たり。男の子です」
「えっ!?ホントに!?もう判るのか?」
「はい。今日の検診で確かめてもらいました」
「………!」
古庄は感極まって言葉を失い、真琴の背後から両腕で包み込んで、両手で優しく真琴のお腹を何度も撫でさすった。