恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「森園さん、強くいようと思ってても、泣きたくなる時もあるし、弱さをさらけ出していい時だってあるのよ?そんな時にはいつでも助けになるし、受け止めてあげるから。…だけどやっぱり最後は、自分の力で笑顔になってね」
涙を拭いてくれながら、真琴がそう言って、佳音を励ます言葉をくれる。
そんな間近にいる真琴を、佳音は初めて直視した。
恋してやまなかった古庄が妻にした人は、清らかな心が透けて見えるような、本当に綺麗な人だと思った。
「……賀川先生みたいな人が……、お母さんだったら良かったのに……。」
そう言ってくれた佳音に対して、真琴は戸惑ったような嬉しそうな笑顔を見せた。
「森園さんのお母さんは、こんなに心が真っ直ぐな娘を育てた人なんだから、きっと素敵な人なんだと思う。今は、古庄先生が言うように悲しみで心が曇ってるだけで…。一番近くにいる森園さんが、その曇りを拭ってあげなきゃね。押し付けないで、急がないで、優しく何度も何度も…ね」
自分が古庄に恋焦がれて、その全てを自分のものにしたいと思っていたことは、この真琴ならば気付かなかったはずがない。
それなのに、こんな風に自分を受け入れてくれて、優しい言葉をかけてくれる…。