恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
それをどういう風に高原に説明しようかと、真琴は言いよどんだ。
“古庄先生のことが好きだから…”と言っても、平沢や理子が古庄に熱を上げているのと同じように受け止められるのがオチだ。
古庄と結婚していることを打ち明けられたら簡単なのだけど、秘密にしなければならないし、高原を傷つけるような態度もとりたくない。
真琴が困った顔をしたので、高原は雰囲気を察した。
「…別に、付き合ってほしいとまで思ってるわけじゃないんです。ただ、僕の気持ちを知っておいてほしかっただけで…。賀川先生が付き合ってもいいと思えるまで、僕は待ちますから」
――…お前!それは、結局『付き合ってほしい』って言うことだろ…!!?
教室の外、廊下でこの会話を立ち聞きしていた古庄は、高原の物言いに心の中でツッコミを入れた。
つかつかと教室の中に入って行って、高原をつまみ出したい心境になったが、ここで自分が出て行ってしまうと真琴との関係が露見してしまう。
今は、真琴の対応を見守るしかない。
しかし、高原が真琴の返事は待たずに出口の方へ歩いてきたので、古庄は急ぎ足でその場を離れ、隣の男子トイレへ逃げ込んだ。