恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「……疲れたよ……」
古庄は居間に座り込んで、大きなため息を吐く。
「大変でしたね。……すぐにご飯にしますね」
今は詳しいことは聞かずに、古庄に休んでもらいたいと、真琴は思った。
「いや、飯なら食ったんだ。森園と一緒に、うどんを一杯…」
「それだけじゃ、足りないでしょう?何か、軽く食べられるものを作りますね。私も少し前に帰ってきたばかりですから、何も準備してなくて、簡単なものになりますけど」
と言いながら、真琴は台所の冷蔵庫の中からいくつか食材を取り出している。そんな真琴に、古庄は居間で座ったまま声をかけた。
「学校で俺を待ってたんだろう?連絡しようにも、携帯忘れてて…。どうやって帰った?」
「タクシーで帰りました。和彦さんの携帯は、私のバッグの中に入ってます」
古庄は、自分のできた嫁に感じ入った。
計算高いわけではないのに、真琴の行動はいつもきっちり収支が合っていて、漏れがない。
「お弁当用に冷凍していたハンバーグを使って、ロコモコ丼にしてみました」
20分もしない内に、古庄の目の前には色鮮やかな丼が出てきた。食欲がそそられて、本当は腹が減っていることに気付く。