恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
求めるばかりで…望むものを与えてもらえない自分を憐れんで、哀しみに染まっていた佳音の涙。
けれども今佳音の頬を伝うのは、古庄と真琴の大きな愛情に包まれて心が安らぎ、苦しみから解き放たれた涙…。
その涙はとても心地が良く、いつまでも涙を流す佳音を、古庄と真琴はずっと見守り続けた。
佳音が帰るためにコートを着始めると、古庄も上着を着て、佳音を送っていく準備をする。
真琴も佳音を送るために、二人の後について玄関口に向かった。
「それじゃ、森園さん。また、遊びに来てね…って、週末じゃないと古庄先生はいないけど」
「…え?」
真琴の不可解な言葉に、佳音が思わず首をかしげる。
「ここは真琴のアパートで、俺が暮らすのは週末だけなんだ。いつも一緒にいると、人目についてしまうからね」
佳音の疑問に、古庄の方が答える。
どうりで、二人で暮らすには手狭な感じがしたと、今更ながらに佳音は納得する。
「…学校では、私が妊娠してしまって結婚したことになってるだけで、相手が古庄先生だってことは、まだ内緒にしてるから…」
「だから、この秘密を知ってるのは、森園だけだ」