恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「中学の時に家庭科で作ったスカート。佳音ちゃん、ポケットのところとか、まつり縫いとか、本当に上手に出来てたの。他に刺繍なんかも、丁寧で綺麗で完璧だった。だからきっと、力になってくれると思う」
そう言う有紀の言葉を聞きながら、佳音はますます困惑を深め、ようやく口を開いた。
「……何を、してるの?」
佳音の問いかけに、クラスメートの一人が少し含みを持たせながら答える。
「……賀川先生のウェディングドレス…、みんなで手作りしようと思ってるの……」
「ウェディングドレス……?」
思いがけないことに佳音は息を呑んで、その輝くような純白の生地を見下ろした。
「賀川先生と古庄先生…。結婚していること内緒にしてるから、まだ結婚式も挙げてないと思うの。…その内するつもりなのかもしれないけど、赤ちゃんが産まれちゃうとなかなかそうもいかないだろうから…」
「だから、賀川先生がお休みに入る前に、みんなで結婚式をプレゼントしようと思ってるの」
「みんなで…?」
佳音は、一同の顔を見回しながら、事の次第を確かめる。
その佳音の顔を真剣に見つめ返しながら、このプロジェクトの発起人である有紀が答えた。