恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「そう、私たちだけじゃなくて、同じクラスの男子や生徒会の人たちや、ここで手伝ってくれてる平沢先生や他の先生たち…校長先生にも協力してもらうつもりなの」
…何ということだ。
“結婚”のことが秘密になっていると思っているのは、当の本人たちだけで、その事実はもうすでに全校に知れ渡ってしまっているらしい。
「…それで、賀川先生と古庄先生には、このことは内緒にしてて、サプライズでプレゼントするわけね」
特段驚くわけでもなく、佳音は納得して頷いた。
すると、有紀の顔が嬉しそうに輝く。
「さすが、佳音ちゃん。呑み込み早い!…それでね」
と、それから有紀は現状を説明し始めた。
式を予定している離任式まで、あと1カ月もないのに、限られた人数で“ウェディングドレス”と言う大作に挑まなければならないこと。
それに、それを着る真琴が妊婦だということ。
「コレね?いろいろ調べてみたら、手作りのキットなんかもあったから、賀川先生に似合いそうなデザインのものを取り寄せてみたんだけど……」
「…この型紙の通りに作ってしまうと、お腹の大きい賀川先生には到底着れないわね」
そこで、平沢が現実を指摘した。