恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
完成するはずのドレスを着た花嫁さんの可愛らしい写真を見て、佳音は心に誓った。
このドレスをこの写真以上に、何としても完成させると――!
それは、こんな自分に優しくしてくれた真琴のため…。
そして、まだほのかな想いが残る古庄のため…。
真琴を溺愛する古庄は、きっとこのドレスを着た可憐な真琴を見て、心の底から感動し喜ぶに違いない。
その古庄の喜ぶ顔が見たくて…、古庄と真琴が幸せに包まれて微笑む姿が見たくて…。
別にお礼を言ってほしいわけではなく、ただ喜んでくれると思っただけで、佳音自身も嬉しさで浮き立ってくる。
これが、古庄の言っていた“誰かのために…”ということなのかもしれない。
このドレスにとどまらず、佳音は古庄と真琴のためになら、何だってするつもりだった。
ウェディングドレス作りは、予想した通り、多難を極めた。
もともと針や糸を日常的には扱っていない女子生徒たちは、縫い目一つ一つに平沢からダメだしされ、ミシンを扱えば、その糸の掛け方さえもよく分かっていなかった。
一方的に頼られてしまった平沢は、初めは不本意だったのかもしれないが、毎日遅くまで残って、女子生徒たちに付き合った。