恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「古庄先生の式で着る服はどうなってるの?」
ドレスを飾り付ける小さなリボンを作りながら、佳音が確認をする。
「ああ、それはね。2年生にいるでしょ。川沿いのリゾートホテルの息子が。そこの結婚式場にある貸衣装を貸してもらうことにしたみたい。古庄先生の方は、古庄先生のクラスの女子や溝口くん達が動いてくれてるから」
有紀も手を動かしながら、佳音に答える。
「指輪は…えっと、誰先生だったっけ?」
平沢とレース生地を裁断しながら、他の女子も進捗状況を確認し合う。
「指輪はね。3年部の谷口先生に頼んである。先生たちにご祝儀のカンパをしてもらって、結婚式までには間に合うように出来上がるらしいよ」
「お花は?ブーケやブートニアはどうなってるの?」
平沢も、気になっていることを横から口を出した。
「ブートニアって何?」
離れた所でミシンがけをしていた一人が、首をかしげる。
「ブートニアって、花婿さんが胸ポケットにさす花のことよ。花嫁さんのブーケとおそろいで作ってもらうの」
平沢が答えるのと同時に、有紀も平沢に報告する。