恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



「お花の類は、音楽の大石先生がフラワーアレンジメントが趣味らしくて、これまでもお友達のブーケなんかも作ってあげたりしてるらしいから頼んでます。…でも、ドレスを見てみないと、どんな風にするかは決められないって言われました」


大石先生にそんな趣味があるなんて知らなかった平沢は、生徒たちのリサーチ力に感服して肩をすくめた。


「賀川先生の髪やお化粧はどうするの?」


話しをしていると、佳音の頭の中には、気になることが次から次へと湧いて出てくる。


「そう、それ。ちょっと困ってるの。こんなドレスを着るのに、さすがに素人が適当に…というわけにもいかないだろうし…。この学校に美容師さんの子どもいないかなぁ?」


有紀が眉を寄せながら、針仕事をする手元から目を上げて、佳音と視線を合わせる。

すると、その時ミシンをかけている女の子が再び声を上げた。


「あ!うちのお姉ちゃん。美容師だよ。頼んでみよっか?」


「わ~~っ!!助かる~!でも、もちろんタダでよ?その辺、お願いね?」



こんな風に、真琴と古庄の“秘密”の結婚式の計画は、着々と進められた。



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