恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



結局、“放課後”についての話も、うまくお茶を濁され、古庄は釈然としないまま終礼を終えた。



「なんだか変だ…。生徒たちが俺に何か隠し事をしている」


終礼から職員室へ戻ってきた古庄が、とうとうその胸の内を真琴に打ち明けた。

同じく終礼から一足先に戻って来ていた真琴が、自分の席に座ったまま古庄を見上げた。


「……訊き出そうにもスルーされるし…。俺、生徒たちにシカトされて、いじめられてんのかな…?」


「まさか…!」


いつになく弱気な古庄の物言いに、真琴も思わず笑いをもらす。


「でも…、そういえば私のクラスの生徒たちも、何かしているみたいです。クラス中がゴソゴソ落ち着かないのに、変な結束力みたいなものがあって…。本人たちは隠そうとしているみたいですけど…」


この辺、普段から生徒の自主性に任せている真琴は、悪いことじゃない限り、あまり気にしないし深入りしない。


「君のクラスの場合は、君が休職していなくなるから、何か計画があるのかもしれないな…。でも、俺のクラスは…?」


「……さあ?何してるんでしょうね?」



そんな二人の雑談に、例によって向かいに座る戸部が聞き耳を立てている。



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