恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
古庄の心情を察したのだろうか。
真琴がそう言ってくれたので、古庄も寂しさで陰った心に一筋の光が射しはじめる。
「そうだな。子どもも産まれるし、住む所も君のアパートじゃさすがに狭すぎるから、新しい所を探さないとな。引っ越しも、君が動けるうちに済ませたいし、急がなきゃ…」
二人のためにやるべきことを見出して、古庄の顔が輝き始めたので、真琴もニッコリと微笑んで頷いた。
今のままでいられない…そんな感慨が生まれるのも、今だって小さな喜びで満たされて、十分に幸せだからだ。
けれども、目の前には二人で生きていける未来が開けている。
ブロックで作られた小さな小屋のような資源ごみの保管庫に着いた。
「ありがとうございます」
扉を開けて、中へと立ち入って紙類の束を置いてくれた古庄に、戸口から真琴がお礼を言う。
「…あ!何だ?これ?」
積み上げられた紙の束を見ながら、古庄がそんな声を上げたので、真琴も何事かとごみ置き場に足を踏み入れて、彼の背後から覗き込んだ。
するとその瞬間、古庄はその体を翻させて、真琴の腕を掴んでその胸に抱き寄せる。
驚いて古庄を見上げた真琴が、言葉を発する前に、唇は重ねられていた。