恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「……素敵」
小さめだが真ん中で輝いている石の両方に、更に小さなピンクの石があしらわれている。
普段から“物には囚われたくない”と思っていたし、古庄と結婚した中で“指輪”なんて思考に過りもしなかった真琴なのに、突然渡されたこの愛情の証に胸がいっぱいになった。
「……ありがとうございます。大切にします」
「うん」
真琴が素直に受け取ってくれたので、古庄もホッとしながら頷く。
真琴は指輪を愛おしむように胸の前で両手で包み、口づけた。
「……大切にします……」
もう一度同じ言葉を繰り返すと、真琴の想いは極まって両方の瞳から涙が零れ落ちた。
それを見て、古庄の方も胸がいっぱいになって、もう一度真琴を腕の中に抱え直す。
しばらくそのまま、かけがえのない人に対するかけがえのない想いを、お互いに噛みしめた。
「本当なら、もっとロマンチックな感じで渡したかったんだけど……」
古庄が自嘲気味に苦く笑いながらそう言うと、真琴も古庄の腕の中から顔を上げた。
「ロマンチック?」
「…うん。例えば、夕日が沈む海を見ながらとか、キレイな夜景を見ながら…とか」