恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…うん。その内紹介できると思うわ」
――…一宮先生、ごめんね…。
今も古庄のことが好きであろう理子へ、心の中で詫びながら、顔は幸せそうな笑みを作って、真琴は答える。
信頼している人たちにこんな嘘をつき続けることは、本当に苦しい。
けれども、真実を言えば、きっと理子は裏切られていたと思うだろう。そんな風に彼女を傷つけることを想像すると、とてもいたたまれない。
それでも、嘘をつき続けてこれ以上罪を重ねないためにも……、全てを隠さずに打ち明けられる春が、早く来てほしいと思う真琴だった。
真琴の指輪を見て、言葉を逸してしまったのは谷口だ。
いつもの彼女なら、真っ先にいろんなことを詮索してくるはずなのに、戸惑ったように自分の中のものを処理しているようだった。
「素敵な指輪ね。そんな指輪をくれる人だから、きっととても素敵な人なんでしょうね」
そして、気を取り直したようにそう言葉をかけてくれたが、すかさず、
「…ね?古庄先生?」
と、隣の席で何食わぬ顔で新聞を読んでいた古庄に話を振った。
「…え?」
虚を突かれて、古庄は目を点にして一同を見上げる。
その目を、谷口が含みのある視線で捉えた。