恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…ん?うん。堅実な賀川先生が選んだ人なんだから、そりゃ間違いないよ。ね?賀川先生?」
と、古庄は椅子の肘掛けに腕を置きながら、真琴の方へと向き直る。
「……………」
「選んだ人」本人からそんな風に言われても、真琴には何とも答えようがない。
古庄の方を見ることもできず、微妙な笑顔を作るだけの真琴の代わりに、谷口が応えた。
「あら!古庄先生。まるでお相手を知ってるみたい」
と言いながら、眉を動かして古庄の反応をうかがう。
その口調から古庄も何かを感じ取り、谷口に視線を合わせたが、
「さあ?どうだろうね」
と、とぼけながらも幸せそうな満面の笑みを見せた。
意味深な谷口の言動に、ドギマギしている真琴に引き換え、余裕さえ感じられる古庄は、却ってこの状況を楽しんでいるようだ。
さらに、古庄のこの微笑みは、都合の悪いことさえも全て洗い流してしまう力を持っている。
古庄と真琴の側に立つ女性教師3人は、グッと息を呑み顔を赤らめ、誰もその後は言葉を発せられなかった。