恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜





そして、古庄がこの指輪の効果を誰よりも確かめたいと思っている高原は、この話題には無反応。

その日も、その次の日も、何も真琴に尋ねてくる気配はなかった。


心の中には、複雑な感情が渦巻いているのか…、それとも真琴のことはもう割り切って諦めたのか…。


まるで指輪を無視するかのような高原に、古庄は物足りなさを感じたが、真琴の方は普段と変わらない高原の態度に、胸を撫で下ろしていた。




その週の後半には、弟を亡くした森園佳音も登校してきた。

佳音は、もともと友達と一緒になって楽しそうに騒ぐタイプではない女の子だが、やはり悲しい出来事が彼女の陰にいっそう拍車をかけていた。


しかし、そんな物静かさにもかかわらず、集団の中でも彼女は、くっきりと浮き出る存在だった。

色白に加えて、長いまつ毛で縁どられた可愛らしい大きな目、可憐な唇。この美少女にじっと見つめられたら、男の子は誰だってボーっとしてしまいそうだ。


< 43 / 343 >

この作品をシェア

pagetop